ここにたどり着くには、徒歩か電車しかない。木々に隠された製茶工場 緑に埋もれた廃墟が見えてきた。 目に痛いほどの緑。植物野郎のパラダイス。光合成天国。自然保護など必要なし。 植物には目がある。連中は明らかに窓を目指しているではないか。 これが工場の全貌だ。二棟の建物が確認できる。 内部。大型機械と穴。床が落ちて何かが落下したようだ。 恐らく以前は近くに茶畑があり、採取したものを乾燥させて加工していたのだろう。 いくつかの製茶専用機械が残る。普段製茶の工程など見たことないからよくわからない。 橋本式という製茶機械があるのか。マニアックな世界だ。製茶業界ではメジャーなのか? こっちは八木式。 再び橋本式。この炉で熱風を出して乾燥させたのか? 上を見てみると、梁にいろいろのっけてある。 どうやらこのスクリューで茶葉をかき混ぜていたらしい。 床に穴が開き、どんどん物が沈みこんでゆく。 操業当時はこれら機械たちが唸りを上げて稼動していたのだろう。 しかし今ではクモの巣が静かに張る静寂空間だ。 丈夫な梁もそろそろ重みにたわんできた。誰も見てない時に音立てて落ちる日が来る。 作業手順や覚書が壁にチョークで書かれている。灯油で発電機を動かした。 操業記録。昭和39年から52年まで稼動。毎年5月の半月だけ使われたらしい。 繁忙期は缶詰食べてがんばった。機械も人もがんばった。 最後の出荷の船が出た後、機械は眠りにつき、植物の奴らが寝顔を覗き込んでいる。
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