一部では有名な民家廃屋。 ジャングルと化した玄関。植物のくせに玄関から入ろうとする律儀。 廃屋にオバケがいないと承知できない人々が大勢訪れ、荒らしていく台所。 解体途中で放棄されたのか、荒れ方も大規模で清清しい。 この大きな家に棲んでいた方々はどこへ行ったのか。地元民だったのか。 高家の謎。鉄筋コンクリの南国城。打ち捨てられた所以には諸説ある。 往時、床のツヤを出そうと努力した。ツヤは出たのだろうが、今となっては無意味だ。 何の意図があってか、廃墟にはヒトガタや顔の落書きが多い。壁面慣習。 BAD BOYS。即ち「悪い子たち」。その自称に情けなくならないのだろうか。 屋上には水たまりが出来、亜熱帯の太陽に晒されてボウフラを育成する。 排水口はとっくに詰まり、溜まった雨水がゆっくりとコンクリを侵食していく。 残留物がないので落胆するTEL。棲家の匂いは消臭され、無機質な残骸を後にする。
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