急流に恵まれた日本では水車が発達し、強風に恵まれた国では風車が発達した。 回転をエネルギーに動力変換する事を発明したのは画期的だった。 なぜなら、他の動作と違って回転には反復が省略できるからである。つまり無駄がない。 しかし回転運動は、動物的本能の直線運動と違う為に意識的混乱も誘発する。 回れば楽しいだろう、美しいだろうという直感は間違いである。 回転とは即ちブラックホール。エントロピー。末路は終末思想なのだ。 回転とは無理矢理加速して終末に急ぐ行為であり、だからこそ人々の好奇心を集めるのだ。 一方、回転の向こう側を忘れてはいけない。 回転の行き先が終末なら、始まりもまた回転からやってくる。 はじめに回転ありき。回転から無理矢理事象が生じる。 投げられたサイコロの如く、投げ出された因果が渦を巻いて展開していく。 渦の発生には必ず圧力差がある。竜巻のように。 圧力差があるところに回転が生じ、因果が渦を巻いて繋がっていく。 全ての原因は圧力差にあり、全ての経過はスパイラルであり、全ての終末は均衡である。 そんな空論が頭をよぎっていくひと時だった。
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