一昔前の電子工業系会社は、ハイテク開発のスピードに負けて潰れていく所も多い。 内部にはなにもない。ガランとしていて地面を緑色エイリアンが這い回っているだけだ。 廃車が転がっている。 わりと新しい車なのだが不法投棄。 室内には顔の落書きがいくつかある。 元従業員の作品だろうか?この顔は元従業員なのか? マイクを持ってるということは歌手の似顔絵か? 会社名が表記してあり、会社が潰れた理由についてコメントがある。 軍手は使い捨てにするべきか、洗って使うべきか、いつも迷う。 一箇所だけ区切られた部屋がある。ドアが二箇所も。なんの部屋だったのか。 洗濯場だったと思われる。洗濯機はないが持ち去られた様子。 出荷予定ボードに移りこむTEL。出荷されるかもしれない。 真四角に切り込まれた石シンク。冷え冷えとした質感。 倉庫もあった。ガラクタとガラス片だけしかなかった。 倉庫外見。歪んでいる。 顔の落書きの餞別を抱いて朽ちていく、鉄筋コンクリの墓標。
|